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扉絵集



2018年11月号(No.803)
東へ
高阪健太郎

 「夕日に向かって走れ!」というと、明日に夢を描く昔の青春ドラマみたいですが、実際に夕日を西へ西へと追いかけて、いつか太陽を追い越して、朝日を振り返れるかと言えば?答えはノーです。
 金光大神の広前に大阪から蒸気船に乗って来たという信者がいました。男がその船の速さや、電報を使えば東京大阪間でも1時間で返事が届くことを得意げに話すと、金光大神はそれに対していみじくも、「私は汽船も電報も知らないが、まだ速いことがある。日天四様は、朝から晩までの間に東から西へお入りになってしまう」と語られました。メールを使えば海外とも一瞬でやり取りができる今日ですが、飛行機でも太陽は追い越すことができません。
 神様も同じで、追いかけても捕まえられないのです。まだかまだかとおかげを待ちわびるのは、その向こう側に朝日があると信じて夕日を追い続けるようなものです。それは徒労に終わるのです。
 私たちは朝日を拝むもっと簡単で確かな道をすでに知っています。辺りがまだ暗い闇でも、微かに光差す東へ向けば、朝日は向こうからやってきます。夕日を追うような信心はもうやめにして、一歩でも朝日を迎えにいく信心をしたいものです。その案内人こそ「ありがとう」のことばです。
 ちなみに、今はなき超音速機コンコルドは太陽を追い越して飛べました。太陽は東へ沈んでいくように見えたそうです。
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