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巻頭言

扉絵集



2018年8月号(No.800)
浮世はどこに
高阪健太郎

「山に入って浮世を逃れようと思います」
 悩める弟子の願い出に「山へ入って何を食べどのように生活するのか」と尋ねる師。「木の実や木の葉、水だけで生きられるようになります」と返す弟子に、金光大神と呼ばれたその人はこう語りかけた。
 「わざわざ不自由な山に行かなくても、心の中に山をこしらえて修行したら良い。それならどんなに不自由があっても、家のご飯が不味くても不足をいうこともあるまい」
 山に入って浮世を逃れようとする弟子に、心に山をこしらえよと煙に巻くことを言われるのですが、それでは浮世というのはいったい何処にあるのでしょうか。
 浮世、それはその人の心の中に作り出された幻想にすぎません。煩悩にまみれた浮世俗界を離れるのに、山に入った気になって不自由や不足を言わぬのもひと修行ですが、それよりも、みずからを苛むその浮世が幻想だと知るほうがよほど解決が早いのです。人と自分を比較したり、ないものねだりをしているけれど、このようにならなければ幸せではないとか、これを持つことが豊かさだという思いのほうが実は幻なわけです。心の中に山をこしらえよとは、あなたを虜にする心の中の浮世を壊してみよというメッセージにも読めるのです。
 あなたの浮世はどこにありますか?
 それはあなた自身を苦しめてはいませんか?
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