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世古口禮子
信心体験談 - 母の背中に信心を見て(前)

 昨年古希を迎える年始め、突然三リットル以上の腹水が溜まり、お正月中食事も出来ずに辛い思いをしました。病院であらゆる箇所の検査を受けて二週間後に、医師から「原発性腹膜癌」であることを告知されました。同じ病気の人が少なく、原因も分からないまま抗がん剤治療しかないと聞かされて、その現実と向かい合いながらどうすることも出来ず不安な気持ちで押し潰されそうになりました。
 病気のことを姉に伝えると「金光様におかげを頂きましょう。私がお届けしますから貴女は安心して治療に専念しなさい」と励ましの言葉をかけてくれました。私は気力を落とさず前向きに治療を受けることだけを考えました。
 抗がん剤治療は二十八日周期で六回の治療を受けます。一回目は数多い副作用の説明を聞きながら気の遠くなる思いで入院しました。治療は五時間かかります。抗がん剤が身体に合うかどんな副作用がでるか何も分からないのです。「無」になって全身全霊で頭の上から手足の先まで冷静に受け入れることだけが私の努めでした。
 退院後身体の関節が痛み腹水の中で電流が走るような感じがしました。二週間くらいすると副作用で脱毛が始まり、髪の毛、眉毛、まつげが見事に抜け落ちる…避けて通ることの出来ない私への試練の日々が続きました。
 二回目の治療が始まり、朝、痛みで目が覚めると腹膜全体に鳥の口ばしで食いちぎられるような激痛が二時間程続きました。身体を大の字にして金光様に無我夢中でお願いしました。伊勢教会開教百年記念の日めくり十九日に記される「神は平等におかげを授けるけれども受け物が悪ければおかげは漏れる」を思い出させて頂き「金光様、この激痛を通して私に原発性腹膜癌と向かい合わせて下さい。痛みが授かることでこの病気を乗り越える精神力を授けて下さい」と何度も繰り返しお願い申し上げました。 (続く)
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