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巻頭言

扉絵集



在籍輔教 岡田典明
命のバトンは信心から -61-

 昨年の暮れ、普段から親しくしている大阪のある教会長先生から、思わぬ相談がありました。どのようなことかと申しますと。「神戸にある妻の実家の教会が、このたび新築ご造営のおかげを蒙ることになった。戦災を受け戦後再建されたものだがお扉だけはどうしても、新しい教会に残したいというので、神具屋さんにも洗いの相談をかけたが、新しく作るのなら引き受けますが、洗いはようしませんとのことでありました。教会ではいろいろ検討したようですが、適当な業者が見つからず、困り果てて、大阪ならどうだろうということで、私の所へ相談がありましたが、私とてその様な業者を知るわけもなく、まあ探しておきます、というようなあいまいな返事をしておったのですが、ふと欄間を彫っておられる先生のことを思いだし、先生なら何かその方面に手づるをもっておられるのではないかと、勝手に想像し、お電話差し上げた次第です。」という内容でした。
 その後いろいろのやり取りがありましたが、詳細は省かしていただくとして、結論を申しますと、私自身がお引き受けすることになりました。と言いますのは、私の欄間の師匠の店では、欄間や建具にいたるまで、古いものは洗いにかけ、再生することで施主に喜んでもらうということが、近年多くなっており、私自身も、大津教会や金沢教会の古材を再利用した経験があり、自宅の茶室の用材も、洗いにかけた古材を使いました。自分でやるといいましても、教会のお扉は、大きいものですから、師匠の店を頼らざるを得ません。その指導のもと、数回にわたり、洗いの作業をさせていただきました。その折、経費のことを心配される教会長に対し、一つの提案をさせていただきました。長年にわたり、お扉を大切に手入されてきた教会の皆さんとともに、この作業をさせてもらいたいと申し出たのです。こうして入れ替わり立ち代わり、多くの方が関わってくださいました。六十数年ぶりにはっきりと現われた檜の木肌と、素晴らしい木目に思わず手を合わせたことでした。
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